5 再発・再手術 新生活への期待2010年9月18日 asahi.comより抜粋運動器 腰椎椎間板ヘルニア:5 再発・再手術 新生活への期待 2007年に腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアの手術を受けた石黒弘二さん(33)は、順調に回復していた。激しい運動はできないが、右足のしびれも腰痛も治まっていた。総合卸商社の仕事では、09年から新規プロジェクトのリーダーに抜擢(ばってき)され、日本と米国を行き来する多忙な毎日を送っていた。 「あれ?」 11月ごろ、また腰がチクチクと痛み出した。なぜか、今度は左側が痛い。かかりつけの整形外科で鎮痛剤を処方してもらい、だましだまし、正月休みを迎えた。ところが、1月3日。ナイフでざくざくと刺されるような激痛が、今度は左脚の太ももの裏を襲った。 翌日、東京医科歯科大付属病院へ。前回と同じ一番下の腰椎と骨盤の椎間板で、ヘルニアが再発していた。椎間板の中央にあるゼリー状の髄核が、左後ろに飛び出していた。 医師からは「2、3カ月、安静にしていたら、痛みが引くかも知れない」と言われた。だが、2月には重要な展示会、3月には結婚式が控えていた。一日も休む暇なんてなかった。2カ月も寝ていればまた体が弱ってしまう。再手術を即断した。 手術まで約1週間。入院中も、同僚や上司と病室で打ち合わせを重ねた。昼休みには、当時婚約者だった妻の由香(ゆか)さん(36)が毎日見舞いに来て、結婚式の招待状を書いた。 手術は、今度も2センチほどの切開で済んだ。結局、仕事を1カ月ほど休んでしまったが、2月の展示会には間に合った。今も少しだけ足のしびれが残っているが、痛みはない。 今後の不安がゼロといえばうそになる。一度傷ついたりヒビが入ったりした椎間板は再生されない。椎間板の中央にある髄核も、2度の手術で少しずつ取り出したため、普通の人よりも少なくなっている。再々発をするのか、それはいつ来るのか、軽い腰痛の状態で症状を沈静化させる方法はないのか。「気になりますけど、なってしまったら仕方ない」 重たい物はなるべく持たない。疲れを翌日に残さないように、睡眠は長く取る。そんな生活を心がけている。 2度の闘病で、筋力はずいぶん落ちた。体が臆病(おくびょう)になって、ストレッチも思うようにできない。もう少し涼しくなったら、ランニングをして体力づくりを始めるつもりだ。 今、由香さんのおなかには赤ちゃんが宿る。いつか、子どもとサッカーがしたい。 ===抜粋終わり=== 戻る 次へ |